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この頃しっくりこない短歌の世界。「百年の短歌」と言いながら平成後の短歌しか目に入らぬ私。73歳の私にして、半世紀前の歌はすべて心に留まることなく通り過ぎてしまう。
まだまだ、味わう事の出来ぬお子様の私が選ぶ歌は9首。
帰り来るを立ちて待てゐに季のなく岸とふ文字を歳時記に見ず・美智子皇后
秋の始まりは動物病院の看護婦とグレートデンのくちづけ・穂村弘
ぼくも非正規きみも非正規秋がきて牛丼屋にて牛丼食べる・萩原慎一郎
老いぬれば事ぞともなき秋晴れの日の暮れゆくもをしまれにけり・谷崎潤一郎
ポケットにキリストの像常にあり所在なき時吾は撫でてをり・富小路禎子
そうですかきれいでしたかわたしは小鳥を売ってくらしています・東直子
売りたくはないけど売れる本並べて腎臓なんかも売った気がする
三越のライオン見つけられなくて悲しいだった 悲しいだった・平岡直子
空中に繰り返し指で書く「い・た・い」はあと一文字で「あ・い・た・い」・俵万智

